仕事とエネルギーの関係性

高校物理
この記事は約11分で読めます。

<景品表示法に基づく表記>本サイトのコンテンツには、商品プロモーションが含まれている場合があります。

はじめに

今回は仕事とエネルギーです。

ここは中学校理科でも勉強したところだと思いますが、しっかり定義を理解できないと今後、勉強する分野にも影響が出るのでココでしっかり押さえておきましょう。

仕事

最初に「仕事」の定義を確認しましょう。

$$ W = Fx $$

仕事 \( W \) は力 \( F \) × 距離 \( x \) で表されます。単位は J(ジュール)です。

計算自体はそんなに難しいわけではありませんが、力を入れた方向と逆方向に動くときは、マイナスがつくのでそこだけ注意してください。

仕事が0の場合

仕事が0になるときも重要です。

  1. 移動の向きに対して垂直な力を加えた場合
  2. 力を加えても移動しなかった場合

移動の向きに対して垂直な力を加えた場合

これは具体的な場面をイメージするならば、荷物を持ってその場にずっと立っている(歩き回ってもいいです)状態です。

これは、荷物を持つという行為は力を上向きにかけていることを表していますね。

このまま、荷物を上に1mでも上げれば仕事をしたことになりますが、荷物を持った状態では、いくら時間が経っても、いくら歩き回っても仕事をしたことにはなりません。

力を加えても移動しなかった場合

これは大丈夫ですね。

$$ W = Fx $$

上記の式の距離 \( x \) が0なので仕事 \( W \) も0になりますね。

仕事の原理

ココは動滑車と定滑車の話です。

動滑車を使えば、定滑車の時と比べて必要な力が2分の1になります。

これは、楽をすることができるということでしょうか?

いや、世の中そんなにうまくできていません。

この場合は、必要な力が2分の1であっても動かさなければならない距離は定滑車に比べると2倍になっているのです。

動滑車 → 定滑車に比べて、力は2分の1。動かす距離は2倍。

この関係を先ほどの仕事の公式に代入します。

計算するまでもないですが、結局変わらないんですね。

このように、同じ結果を得るためには同じ仕事をする必要があるということを仕事の原理と呼びます。

仕事率

次は仕事率です。これは仕事の効率のことです。

例えば、

  • Aさんは10秒で50(J)の仕事をしました。
  • Bさんは5秒で50(J)の仕事をしました。

2人とも同じ50(J)の仕事をしましたが、どちらが効率的に仕事をすることができていますか?

同じ仕事をするのであれば、短い時間である方が絶対にいいですよね。

どちらが効率的に仕事ができているのか、それを表すのが仕事率です。

$$ P = \frac{W}{t} $$

仕事率 \( P \) の単位はW(ワット)です。

エネルギー

さあ、エネルギーです。

加速度を理解できた後の第二の壁だと思ってください。

このエネルギー、そしてその後のエネルギー保存則が分からないという人は結構います。

理解してしまえばこんなに簡単なものはないのですが、最初の理解までが少し大変なんですね。

最初に「エネルギー」の定義を確認しましょう。

エネルギーをもつ物体ほかの物体に仕事をすることができる

これをまずは理解しましょう。

エネルギーと先ほど勉強した仕事は同じものとして扱います。このことは後々分かります。

まずはエネルギーの種類を確認しましょう。

運動エネルギー

運動エネルギーは、動いている物体が持っているエネルギーです。

運動エネルギーは次のようなに表します。

$$ K = \frac{1}{2}mv^2 $$

つまり、動いている物体の質量が大きいほど、速さが早いほど運動エネルギーが大きくなることを表しています。

単位を確認しましょう。

ココでは示しませんが、仕事と同じ J(ジュール) になります。

運動エネルギーと仕事の関係

例えば、運動している物体が静止している物体に衝突した場合を考えます。

カーリングをイメージしてもらえるといいです。

元々運動していた物体の速さは遅くなり、静止していた物体は運動を始めますね。

最初の運動エネルギーを \( \frac{1}{2}mv_0^2 \) とします。

そして、後の運動エネルギーを \( \frac{1}{2}mv^2 \)とします。

この二つのエネルギーどちらが大きいか分かりますか?

物体の質量は変化するはずがありませんので、物体の速さに注目してください。

当然、赤字の式の方が青字式よりも運動エネルギーは大きいです。

$$ \frac{1}{2}mv_0^2 $$

$$ \frac{1}{2}mv^2 $$

明らかに衝突後の方がエネルギーが減っていますよね。

この減った分はどこへ行ったのでしょうか?

今後のためにココでお話ししておきます。

高校物理の範囲においては、エネルギーが急にどこかへ消えたり、急にどこからか現れたりすることはありません。

エネルギーが減ったのであれば、どこかに使われたはずですし、エネルギーが現れたのであれば、どこからか供給されたのです。

さて、今回の場合はどうでしょう。

減った分の運動エネルギーはどこに行ったのか。当然、静止していた物体を動かすエネルギーに使われたはずです。

これを次のように表現します。

減った分の運動エネルギーは静止していた物体を動かすための仕事に変換された

つまり次のような式が成り立ちます。

$$ \frac{1}{2}mv_0^2 – \frac{1}{2}mv^2 = Fx $$

重力による位置エネルギー

次は位置エネルギーです。

「重力による位置エネルギー」は物体が高さを持つことで得るエネルギーのことです。

もちろん、そのエネルギーを物体に与えたのは、重力に逆らって物体をその位置まで上げた人や機械(別になんでもいいのです)などです。

公式は以下のようになります。

$$ U = mgh $$

位置エネルギーは、物体の質量と高さと重力加速度の積で求められます。

ちょっと話題は逸れますが、私はこの位置エネルギーという呼び方があまり好きではありません。

というか位置エネルギーを理解する妨げになっているのではないかと思います。

位置エネルギーとは英語では「ポテンシャルエネルギー」と呼ばれています。

ポテンシャルとは「潜在的な」という意味があります。

これなら理解できます。

物体がある程度の高さを持つことで、潜在的なエネルギーが蓄えられている。

これならイメージできます。

高いところから物体を落とすと、物体は他の物体を破壊できるほどのエネルギーを持つことは経験的に分かることです。

これも単位は仕事と同じ J(ジュール) になります。

弾性力による位置エネルギー

これはバネがもつエネルギーです。

バネを伸ばしたり、縮めたりするとするとバネには元に戻ろうとする復元力が発生します。

これが弾性力による位置エネルギーです。

公式は以下の通りです。

$$ \frac{1}{2}kx^2 $$

\( k \) はばね定数、\( x \) はバネの縮み(伸び)を表しています。

これも重力による位置エネルギーと同じことが言えます。

位置エネルギーではなくポテンシャルエネルギーと呼ぶ方がイメージしやすいですよね。

単位は仕事と同じ J(ジュール) になります。

力学的エネルギー保存の法則

最後は力学的エネルギー保存の法則です。

これは「運動エネルギー」と「位置エネルギー」を合わせた法則です。

力学的エネルギー保存の法則は分かってしまえばそんなに難しくはありません。

しかし、人によっては「分かってしまう」まで時間がかかる部分でもあります。

入試でも必須で、ココが取れれば高得点も狙うことができます。頑張っていきましょう。

力学的エネルギー保存の法則を理解するために必要なことは

エネルギーは突然増えたり減ったりしない。常に一定の値となる。

ということです。

例えば高さ \( h \) から物体を落下させることを考えます。

この時に物体が蓄えるエネルギーは、重力による位置エネルギーの公式から

$$ mgh $$

となります。

そして物体が地面に落下する直前の運動エネルギーを考えましょう。

これは運動エネルギーの公式から

$$ \frac{1}{2}mv^2 $$

となります。

力学的エネルギー保存の法則とは、初めに物体が持っていた「重力による位置エネルギー\( mgh \)」が「運動エネルギー\( \frac{1}{2}mv^2 \) 」に変化したことを表しています。

またこの時「重力による位置エネルギー」はそのエネルギーの全てが「運動エネルギー」に変化しているのです。

今のことを式で表すと下のようになります。

$$ mgh = \frac{1}{2}mv^2 $$

上記の式から物体が地面に衝突する直前の速さを求めることができるます。

もう一つ例を考えましょう。

今度は高さ \( \frac{1}{2}h \) のときの速さを知りたいとします。その時は次のような式になります。

$$ mgh = mg\frac{1}{2}h + \frac{1}{2}mv^2 $$

さっきの式に比べて右辺に「重力による位置エネルギー\( \frac{1}{2}mgh \)」が余分にありますね。

これは、まだ物体が高さを持っているために「重力による位置エネルギー」が完全に0にはなっていないためです。

その分、物体が地面に近い時よりも速さは遅くなりますね。

力学的エネルギー保存の法則は、ブランコのような振り子運動や滑り台を滑り降りるような運動にも適用できます。

真っ直ぐ地面に向かって物体が落ちていないと力学的エネルギー保存の法則が適用できないのではないかと不安になる人もいますが、

大丈夫です。

なぜなら「位置エネルギー」は運動の経路に寄らずに終始の高低差を考えるだけでいいからです。

イメージするならば、山登りをするときに頂上まで一直線で上ろうが、クネクネ蛇行しながら上ろうが位置エネルギーの観点から見れば変わらないということです。

中々分かりにくいところですよね。

また、力学的エネルギー保存の法則はバネの運動を考えるときにも適用できます。

力学的エネルギー保存の法則と仕事の関係

最後に力学的エネルギー保存の法則が成り立たない場合の話をします。

日常生活では力学的エネルギー保存の法則が成り立つことはほぼありません。

あんなきれいに成り立つことはないと思った方がいいです。

なぜならば一部のエネルギーが「摩擦」などにより「熱エネルギー」に変換されてしまい、全てが運動エネルギーもしくは位置エネルギーに変換されることはないからです。

関係ない話ですが、この熱というのは本当に使い勝手が悪いエネルギーで、本当に効率が悪いんです。

エネルギー効率を考えるということは、いかに「熱エネルギー」としてエネルギーを外に逃がさないかが重要になってくるのです。

力学的エネルギー保存の法則が成り立たない場合でも、それが仕事して表現することが出来るのであれば、力学的エネルギー保存の法則の式に組み込むことができます。

なぜなら、エネルギーと仕事は同じものだからです。

冒頭での話を覚えていますか?

エネルギーをもつ物体ほかの物体に仕事をすることができる

これがエネルギーの定義でしたね。

そのため、同じ式に組み込んでも何の問題もないのです。

例として、高さ \( h \) の滑り台から物体が滑り降りた。

滑り降りている間の距離 \( x \) において摩擦を受けていた。

滑り降りた時点での物体の速さを知りたい場合を考えます。

摩擦がなければ

$$ mgh = \frac{1}{2}mv^2 $$

で終了です。

しかし摩擦があるので、せっかくの「重力による位置エネルギー」の一部が「熱エネルギー」に変換されてしまいます。

そのため、仕事も組み込んだ次のような式で表します。

$$ mgh – Fx = \frac{1}{2}mv^2 $$

差し引かれた仕事の分だけ、運動エネルギーが小さくなりますね。

私は大学時代に、100%は無理だとしても(どれだけ気をつけても摩擦は発生してしまうので)どれだけ100%に近づくことができるのかを実験したことがあります。

摩擦を極力無くす工夫を何重にも施しましたが、90%が限界でした。

残りの10%はどう頑張っても他に逃げてしまうようでした。

まとめ

今回はエネルギーと仕事の関係について勉強しました!

$$ U = mgh $$

$$ \frac{1}{2}kx^2 $$

$$ K = \frac{1}{2}mv^2 $$

上記の公式は何を表すか覚えていますか?

これらは必須で覚えましょう!

$$ mgh = \frac{1}{2}mv^2 $$

重力による位置エネルギーと運動エネルギーの力学的エネルギー保存則

$$ mgh – Fx = \frac{1}{2}mv^2 $$

力学的エネルギー保存則と仕事の関係

コメント

タイトルとURLをコピーしました