はじめに
外から与えた熱量を仕事に変換する。
これが現在のエネルギーの供給方法です。
そのエネルギーでモーターを回し、電力など我々の生活に必要なものが生み出されています。
しかし、与えられた熱量すべてが仕事に変換されるわけではありません。
与えられた多くの熱量は、無駄に機械などの温度を上昇させることに使われてしまいます。
上記のようなことを表したのが熱力学第一法則と呼ばれる公式です。
熱量を仕事に変換させる
そもそも「熱量」や「仕事」とはどのようなイメージを持てばいいのでしょうか?
私はよく授業で、車を例に出します。
車を動かすのに必要なエネルギーは?
ガソリンですよね。これが「熱量」です。
そしてガソリンを入れると、車を走らせることができます。
そして、次に車を作る会社が考えることは「燃費」ですよね。
1Lのガソリンで車が何km走ることができるのか?それが燃費です。
車がどれだけ走ることができるのか?それが「仕事」です。
しかし、最初にも言った通り、ガソリンのエネルギーすべてが、車を走らせることに使われるわけではありません。
多くはエンジンを熱くすることに使われてしまいます。
ちなみにですが、現在の車でも燃費は5割にも満たないと言われています。
与えられた熱量を仕事に変換することは想像以上に難しいのです。
大昔の人が自作した熱機関(エンジン)は、燃費1%以下という酷い状態だったようです。
内部エネルギー
内部エネルギーについてです。
我々が感じてる気温は、空気分子の熱運動の度合いを表しています。
空気分子1コ1コのエネルギーの総和を内部エネルギーと言います。
簡単に言ってしまえば
内部エネルギー = 気温
だと思ってもらえば大丈夫です。
熱力学第一法則
いよいよ熱力学第一法則です。
最初に公式を示しておきます。
$$ Q = ΔU + W $$
熱量 \( Q \)、内部エネルギーの変化 \( ΔU \)、外にした仕事 \( W \)となります。
先生によっては以下の様に公式を書く場合があります。
$$ ΔU = Q + W $$
この場合は、外部からされた仕事 \( W \)となります。
これは好みなので、好きな方を使ってください。
ただ、仕事 \( W \) が外からされたものなのか、外に行ったものなのかを確認する必要があります。
先ほどの車の例に戻りましょう。
ガソリンが「熱量」 \( Q \)
エンジンをどれだけ熱くするのが「内部エネルギーの変化」 \( ΔU \)
車がどれだけ走ることができるのかが「外にした仕事」 \( W \)
です。
外から与えた「熱量」 \( Q \)が「内部エネルギーの変化」 \( ΔU \)と「外にした仕事」 \( W \)に使われたというように考えます。
まとめ
熱力学第一法則は
熱機関は外部から熱量が与えられない限り仕事をしない
と言い変えることができます。
イメージしやすいですよね。
ちなみに熱力学第一法則に反する熱機関を
第一種永久機関と言います。
外からエネルギーを与えていないのに仕事をする熱機関のことですね!
そんな熱機関はあり得ない!
熱力学第一法則も以前解説したエネルギー保存則と考え方は同じです。
問題演習等を行なって理解を深めましょう。
コメント