大学物理 オススメ参考書26選!
大学に入ると高校とは違った物理学の世界を知ることになります。
大変面白い世界ですが、理解するうえでの難易度が上がるのも事実です。
大学物理が高校物理と比べて難易度が上がる理由は以下の記事を読んでみてください。
今回は、大学物理を勉強する上でみなさんの助けになる参考書を紹介したいと思います。
紙の本は良いですが、たくさん揃えると結構な金額がしますよね。
また、良い本なのか手元に届くまで分かりません。
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物理の基礎
これは、長岡洋介著の本です。
この本は高校物理と大学物理の橋渡しになる一番簡単な本だと個人的には思っています。
また、長岡さんは「はじめに」の部分で
この本は、高校で物理を学ばずに、あるいは十分に学ばずに大学に入った理系の学生が、教養で物理を基礎から学ぶときに使う教科書、あるいは参考書となることを意図して執筆しました。
物理の基礎 はじめにより一部抜粋
と書かれています。
さすがに高校物理を学んでいない状態で読むことはきついと思いますが、そのくらい丁寧に仕上げているということです。
私自身も初めにこの本で大学物理の入り口を勉強しました。
入り口が難なく通過できたのでその後も大きく挫折することなく勉強することができたと思っています。
もし大学物理が分からなくて、困っている学生さんは是非読んでみてください。
簡単すぎるかもしれませんが、たまには基礎に戻ることも必要です。
確実に身につく基礎物理学(上・下)[力学・熱力学・波動][電磁気学・現代物理学]
この本は以前にも紹介させていただきました。
まずは図がカラーで豊富なんです。とにかくイメージをつけやすいです。
また、高校物理から出発して丁寧に大学物理まで解説してくれます。
波動・熱・量子論の分野まで網羅しているので、とにかく大学物理を勉強したいという人にもおすすめの本です。
この本を最後まで勉強すれば、大学物理の基礎は間違いなくつきます。
物理入門コース
この本は力学・電磁気学・量子力学・熱統計力学・相対性理論それぞれ1冊(電磁気学と量子力学は2冊)の本となっています。
そのため、上で示した2冊よりも内容は濃いものとなっています。
個人的にはそんなに難しい内容ではないと思っています。
このシリーズが理解できれば理工系大学で開講されている物理学入門はついていけると思います。
数式の大きな省略も見られないので読みやすいものとなっています。
難しいと感じるようであれば無理せずに、上に示した2冊で基礎をもう少し固めてから勉強してください。
現在では表紙が変わりました。
スバラシク実力がつくと評判のキャンパスゼミ(マセマシリーズ)
数学分野で有名なマセマシリーズです。
このシリーズも「物理入門コース」と同様にそれぞれの分野が1冊の本としてまとまっています。
このシリーズも分かりやすいです。
物理特有の最初のとっつきにくさがこの本にはありません。
それにも関わらず内容はしっかりとしています。
著者の馬場さんは理論解析や応用数学の専門家で数学のあらゆる分野に精通している方です。
そのためか、シリーズを通して数学をしっかり使って説明してくれます。
途中式も細かく解説してくれているので、式が追えないということはほとんどありません。
演習も充実していてテスト対策にもなります。
もちろん解説も詳しいです。
また「マセマシリーズ」は数学分野もあるので、関わる数学分野をもと詳しく勉強したいと言う方は、そちらにも手を出すといいと思います。
私も「微分・積分」「線形代数」「ベクトル解析」は購入して勉強しました。
物理の考え方
この本は愛読している方も多いと思います。
砂川著の名著です。
それぞれの分野が1冊の本としてまとまっています。
砂川さんの本はとにかく分かりやすいです。
数式ももちろんバリバリ使いますが、何よりも物理に対する考え方がクリアで分かりやすい。
私もこのシリーズを読んで何度「そういうことか!」と理解を深めていったか分かりません。
数えたわけではないのですが、何十回と読みました。
その度に新しい発見や今まで気づかなかった部分に気づけまず。
というか何度読んでも飽きない、本当の名著だと思います。
物理科に進む学生さんは必ず購入してください!と言いたくなるほどオススメの本です。
ここまではシリーズで出している参考書を紹介してきました。
次からは、それぞれの分野からオススメの参考書を紹介していこうと思います。
力学
考える力学 兵藤俊夫 著
力学に必要な知識はほぼ全てこの本で勉強することができますが、難易度としては今まで紹介してきた本と比べると難しいです。
しかし、著者の分かりやすい解説のせいか、非常に読みやすいです。
また、コラムでは非常に面白い日常の物理が語られています。
筆者はまえがきで次のように語っています。
すべての章の記述をニュートンの運動方程式との関係を明確にしながら初学者でも無理なく読み進むことができるように丁寧に書いた。署名を「考える力学」としたが、これは本書の記述を苦労して考えながら読んでほしいという意味ではない。~略~ふと生じる様々な疑問を基本法則に基づいて自らの思考で解決する意欲と力を養ってほしいという意味である。
考える力学 まえがきより一部抜粋
ニュートンの運動方程式を基礎として、話しが展開されていきます。
また、自分で考えて解決する意思と力を養ってほしい。そんな筆者の言葉が印象深いですね。
力学を学ぶのに必要な数学もその都度説明されているので、数学で困ることもありません。
もし、上記で示した本が簡単すぎるという人は、是非「考える力学」から始めてください。
また、最後の方では解析力学の章があります。
数学的に難解な解析力学が見事に分かりやすく説明されています。
こんなに「スッと」頭に入る解析力学の説明は他にありません。
最近、第2版が出版されました。
力学 ランダウ・リフシッツ 著
はっきり言います。
この本はめちゃくちゃ難しいです。
何でこんなに難しく書けるんだっていうくらい難しいです。
しかし、その分内容はめちゃくちゃに深いです。
電磁気学・量子力学などその後に続くために必要な知識がこれ1冊に集約されています。
この本を全部理解しようとすれば時間がいくらあっても足りないのでは?
そんな気持ちにさせてくれる本です。
時間に余裕のある学生、怖い物見たさで興味のある学生は是非読んでみてください。
電磁気学
理論電磁気学 砂川重信 著
有名な理論電磁気学です。
内容はかなり難解です。
しかし、砂川さんの本ということである程度の数学の知識は必要ですが、読みやすい1冊です。
値段は高いですが持っていることをオススメします。
簡単な入門書では、マクスウェル方程式を理解することから話しが始まります。
しかしこの本では、マクスウェル方程式を基礎として話しが展開されます。
そのため、ある程度の基礎が伴っていないと理解することは難しいでしょう。
理論電磁気学を読みこなせるようであれば、学部レベル(もしくは院レベル)の知識は付いていると判断して良いです。
私は、当時の大学の先輩からの教えで、大学の授業で出てきた箇所を調べる(辞書??)使い方をしていました。
だいぶ長いです。
最初から一気に読もうとすると挫折すると思います。
しかし、内容の満足度は私が保証します!
量子力学
現代の量子力学(上・下) J.J.Sakurai 著
J.J.Sakurai 著の有名な量子力学の教科書です。
この本はおすすめとして紹介していますが、個人的には必ず購入してほしい本です。
というのも量子力学って「何やってるか分からないけど計算はできる」みたいな人が多いんですよ。
せっかく大学で物理を学ぶのであれば、それはもったいない!
初っ端から読む本ではないと思いますが、ある程度の基礎が身に付いたら是非読んでください。
多くの量子力学の本が量子力学誕生の歴史→シュレーディンガー方程式という順番で書かれていると思います。
しかし、現代の量子力学では「シュテルンゲルラッハ実験」と呼ばれる有名な実験から話が展開されます。
その他にも様々な実験が登場します。
また、いきなりブラケット記法が出てきます。
個人的にはブラケット記法で考えることが本質だと考えているので、この本を読めば量子力学に対する理解が深まるのではないかと思います。
熱・統計力学
熱力学=現代的な視点から 田崎晴明 著
定番の熱力学の本ですね。内容は分かりやすいです。
著者ははじめにで以下のように述べています。
読者が何かがごまかされたとか何かが曖昧なままに残されたという感触を持たずに進むことの出来るような教科書を作ることが目的である。~略~それだから本書は過去の「名著」に基づいた解説ではないし、熱力学の公式を手際よくまとめたハンドブックでもない。筆者なりに熱力学という学問について出発点から考え直し、再構築して、もっとも論理的で見通しがよいと思われる形で読者に再提示しようという試みである。
熱力学=現代的な視点から はじめにより一部抜粋
今までの教科書のように「何だかごまかされているようだ」という不信感をできるだけ取り除きたいという著者の気持ちが伝わってきます。
ただその分、冗長的な説明になっています。
人によっては、冗長的な部分で読みにくいと感じる人もいるようです。
一般的な熱力学の教科書と違い、熱力学の不思議な部分や著者の考えが多く語れています。
手に取ってみて読みにくいなと感じた人は、もっと簡素に書かれている熱力学の本で基礎を固めてから読むことをオススメします。
ある程度のことが分かった上で読むとものずごく理解が深まります。
統計力学Ⅰ・Ⅱ 田崎晴明 著
この本も分かりやすく書かれています。
統計力学だと数学的な要素が強くなってきますが、この本は本当に簡単なことから複雑なことを説明してくれるので本質を理解しやすいです。
著者ははじめにの部分で次のように述べています。
本書で示したものが、物理的に見ても数理的に見ても最良だと信じている。もちろん、ここで示す導出法は私のオリジナルな発明などではなく、統計力学の基礎付けを真摯に考えている物理学者はよく理解しているものだと思う。ただし、このような考えが、このような教科書の形でまとまって解説されるのは私の知る限り、これが初めてである。
統計力学Ⅰ はじめにより一部抜粋
著者お墨付きの勉強のしやすい構成となっています。
この2冊が全て理解できたのなら統計力学の基礎は完璧でしょう。
熱力学の基礎Ⅰ・Ⅱ 清水明 著
田崎熱力学と同様に定番の1冊です。
著者ははじめにでこのようなことを書いています。
熱力学が分かりにくい理由は、熱力学の基本的な論理構成が、力学のみならず量子論や統計力学に比べても難しいからだと思われる。その高度な理論を歴史的な発展を追いながら教えてゆく従来の教科書のスタイルでは、十分に説明できないのではないか?歴史は、熱力学を身につけた後で学べばよいのではか?そこで本書では、歴史的な発展を追うのではなく、完成した熱力学の姿を最初から示すことにした。
熱力学の基礎Ⅰ はじめにより
ということで、普通の教科書では「温度」から入るところをいきなり「エントロピー」から説明しています。
「エントロピー」は熱力学の中でも分かりにくい単語の1つであろう。
そんな「エントロピー」から説明することは、もしかしたら分かりにくいと思う人もいるかもしれません。
熱力学を学ぶ上での1冊目としてオススメする人もいますが、分かりにくければ「田崎熱力学」から勉強を始めてもいいかもしれません。
相対性理論
シュッツ 相対論入門Ⅰ 特殊相対論
様々な方面で言われていることですが、これは特殊相対論を説明しているものではありません。
どちらかというと一般相対論に進むための基礎固めのようなイメージです。
これも初っ端から読むと絶対にわからないと思うので、ある程度基礎を固めてから読むようにしましょう。
個人的にはテンソルの解説は分かりやすいと思いました。
シュッツ 相対論入門Ⅱ 一般相対論
「シュッツ 相対論入門Ⅰ 特殊相対論」の続きです。相対論入門Ⅰを基礎として本格的な一般相対論の説明に入っていきます。
最後には宇宙論の話もあります。
内容は少し難しいかもしれませんが、相対論入門Ⅰを理解できたのであれば、この本も最後まで読むことができると思います。
その他
ここからは、私が実際に読んで面白かったと感じた本を紹介していきます。
上記のようなガチガチの専門書ではないので、興味の湧いた方は是非読んでみてください。
光の物理 光はなぜ屈折、反射、散乱するのか 小林浩一 著
私の勉強不足かもしれませんが、光の反射・屈折・散乱について詳しく書かれている本ってそんなに多くないと思うんですよ。
この本の「はじめに」に書かれてある文を一部抜粋します。
光が物質に当たれば屈折したり反射したりすることは、よく知られた現象である。レンズや鏡の場合がこの顕著な例だろう。レンズや鏡の作用を説明するには、光の屈折や反射の法則が使われるが、その際には、これらの法則があらかじめ与えられたものとして用いられるのが普通である。高等学校や大学の低学年で習う物理学を思い出してみれば分かるであろう。しかし、そこには、光が物質に当たったときになぜ屈折や反射が起きるのかという説明が欠けているので、なんとなく不満な感じがするのではないだろうか。
光の物理 光はなぜ屈折、反射、散乱するのか より一部抜粋
上記にあるように、なぜ反射・屈折が起こるのかは、高校レベルでは説明されないことがほとんどです。
理由は、大学で勉強する「量子力学」の知識が必要だからです。
内容も、大学1,2年生レベルの物理を基礎に置いているので、今までなんとなくで済ませてきた「光の反射と屈折」について理解するには適切な本であると思います。
ブラックホールと時空の方程式 15歳からの一般相対論 小林晋平 著
この本では、初めにブラックホールを表す数式である「シュヴァルツシルト解」から出発します。
一見すると複雑な「シュヴァルツシルト解」が三平方の定理と同じであると言います。
ほんとうかな?
そんな疑問が出たところで実際に方程式を分解して、本当に三平方の定理と同様の形にまで簡単にしてしまいます。
難解だと思われている「シュヴァルツシルト解」も実は中学校レベルの数学を難しくしているだけなんだ。
そんな切り口から、ブラックホールを軸に一般相対論を教えてくれます。
分かりやすいことは確かですが、さすがに15歳には厳しいのではと思いました(笑)
ゼロから学ぶ統計力学 加藤岳生 著
ゼロから学ぶシリーズから統計力学を紹介させていただきます。
このゼロから学ぶシリーズはどの分野も面白いです。
その中でも統計力学の本は内容がしっかりしているにも関わらず読みやすいです。
統計力学を勉強し始めるという人はこの本から始めてみてもいいかもしれません。
宇宙を解く唯一の科学熱力学 ボール・セン 著
熱力学の発展を歴史を遡りながら説明してくれている本です。
熱力学の基礎が身に付いた状態で読むと、頭の中が整理されると思います。
初めは蒸気機関、最後はブラックホールまで話が膨らみます。
また、当時の時代背景や科学者の思い等も垣間見える読み応えのある1冊です。
振動・波動 小形正男 著
「裳華房テキストシリーズ-物理学」の中からの1冊です。
大学に入ると「波動」のところって難しくなるんですよね。
そんな「振動・波動」ですが、高校物理を基礎として分かりやすく説明してくれる本です。
私自身の感想ですが「裳華房テキストシリーズ-物理学」ってあんまり肌に合わないんですよ。
でも、この「振動・波動」の本はめちゃくちゃ分かりやすいので愛読しています。
アインシュタインvs量子力学 森田邦久 著
アインシュタインは量子力学に懐疑的であったことはご存じですか?
「神様はサイコロを振らない」なんていうセリフは有名ですよね。
量子力学の「非因果性」や「非実在性」などはアインシュタインからすれば特に不満だったようですね。
そんなアインシュタインは、コペンハーゲン学派であるニールス・ボーアに様々な難解な質問をします。
もしアインシュタインの質問に答えることができなければ量子力学は不完全なものであることを証明して今います。
苦しみながらも1つ1つの質問に答えを出していくボーア、そんな二人のやり取りが歴史を遡りながら描かれています。
後にボーアはアインシュタインがいたからこそ、ここまで量子力学が発展できたとアインシュタインを称賛しているそうですね。
道具としてのフーリエ解析 涌井良幸・涌井貞美 著
少し数学に近くなりますが紹介させてください。
以前にもフーリエ解析の記事を書きましたが、フーリエ解析をただ方程式を解くための道具ではなく、ちゃんと意味を教えてくれる本です。
日常生活においてどんな場面で役に立っているのかも知ることができます。
著者の涌井さんは元々高校の先生をされていた方です。
そのためか非常に分かりやすい本となっています。
他にも「道具としての複素関数」や「道具としてのベクトル解析」もあります。
2冊ともおすすめです。
趣味で物理学 広江克彦 著
これも中々面白い本です。
しかし、内容は結構しっかりしています。
教科書通りではなく、著者の広江さんの独自の目線で話が進んでいきます。
予備知識がない状態で読むことは難しいですが、大学レベルの物理を一通り学習した後であれば読書感覚で読めます。
他にも「趣味で相対論」「趣味で量子力学」があります。
また著者は本の冒頭で次のように述べています。
難しくなんかない。いや、たまに難しいこともあるけど、、いつか努力は報われる。この趣味がどんどん広がって、国民の代表的な趣味の一つに認められるほどになればいいとさえ思っている。
趣味で物理学 冒頭より一部抜粋
冒頭でこのように書かれている通り、本当に著者の趣味の話しを聞くような気分で読むといいと思います。
私も物理が趣味みたいなものなので気持ちは分かりますが、本当に「国民の代表的な趣味の一つに認められる」こんな日がくるのだろうか、考えてしまいます。
大学物理 オススメ参考書26選! まとめ
紙の本は良いですが、たくさん揃えると結構な金額がしますよね。
また、良い本なのか手元に届くまで分かりません。
数千円出して買った本が合わなかったら損した気分になりませんか?
大切なお金を無駄にしないためにも、アマゾンの「Kindle Unlimited」を利用してみてはいかがでしょうか?
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今回は大学物理を学ぶ際にオススメの参考書を紹介しました。
人によって分かりやすい参考書が異なりますが、今回紹介した参考書はどれも分かりやすいものばかりです。ランダウの力学は難しいかもしれませんが(笑)
以前の記事にも書きましたが
物理は、指導者によって「得意」にも「苦手」にもなる科目です。
人によって頭に入る「言葉」や「イメージ」が異なります。
今のあなたが物理に苦しんでいるのであれば、それは今読んでいる参考書や指導者が少し合わないだけかもしれません。
どうか諦めずに物理を勉強してください!
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