弦の振動 公式をていねいに導出

高校物理
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はじめに

前回から音について勉強しています。

今回は弦の振動についてです。

音に関係する弦と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

ほとんどの方は、ギターやバイオリンなどを思い浮かべると思います。

弦の振動を物理的にどのように捉えていくのか、詳しく見ていきましょう!

固有振動

まずは固有振動という用語についてです。

物体を手や道具で叩き振動を加えると、その物体固有の振動数で振動します。

この振動のことを固有振動といい、その時の振動数のことを固有振動数と言います。

また、外から固有振動数に合った振動を加えて上げると、より大きく振動します

ブランコに乗っているときに後ろから押してもらって大きく揺らすことと同じです。

これを共振と言います。

楽器はこの共振を利用して、大きく美しい音を出しているのです。

覚える!

固有振動→物体固有の振動のこと

固有振動数→物体固有の振動数のこと

共鳴→物体の固有振動に合った振動を加え、より大きく振動すること

タコマナローズ橋の崩壊

ここで共鳴に関する歴史的なお話をします。

アメリカのタコマナローズ橋についてです。

まずはこちらをご覧ください。

この動画は実際にタコマナローズ橋が崩壊する瞬間を捉えたものです。

結構有名な動画ですよね。

タコマナローズ橋の崩壊は当時吹いていた風と橋が共振を起こしたためと言われています。

*諸説あり、共振が原因ではないという人も存在します。

また、この動画は橋を設計する際に、この設計では共振を起こす可能性があるから辞めるべきだと主張した物理学者が、ほら見たことかと揶揄する目的で撮影されたものだとも言われています。

いずれにしろ、現在の橋やビルや風や地震で共振を起こさないように対策されています

また、タコマナローズ橋以外にも、ある国の軍隊が一定のリズムで行進していたら、石で作られた橋が共振を起こし、崩れてしまったという話もありますね。

弦の振動の仕方

弦の振動には種類があります。これは振動数の違いによるものです(大事です)。

振動数が小さい振動から「基本振動」次に「2倍振動」次が「3倍振動」とどんどん増えていきます。

これは図に示してあるように弦に現れる腹の数で決まります。

腹の数がn個の場合は「n倍振動」となります。

弦の固有振動数を表す公式は次のように表されます。

$$ f_n = \frac{v}{2L}×n(n=1,2,3・・・)- A $$

これを覚えてしまえば一発なのですが、私は物理専門でこの式を丸暗記している人を見たことがありません。

こんな式はその都度自分で立てることができるものなので、覚える必要はありません。

ただでさえ、皆さんは覚えることが多いので不必要な暗記は避けましょう。

また、この式の導出過程はよく入試でも問われます。

様々な観点から見て、暗記はメリットがありません。

公式の導出について説明します。

基本振動

まずは基本振動についてです。

基本振動は以下のような形の振動です。

下図のように基本振動は1波長の半分ですよね。

つまり \( \frac{1}{2}λ \) となります。 弦の長さは\( L \)なので、次の式が成り立ちます。

$$ \frac{1}{2}λ = L $$

$$ λ = 2L $$

波の基本公式より

$$ v = fλ $$

\( λ=2L \)を代入して

$$ v = f・2L $$

振動数 \( f \) について求めると

$$ f_1 = \frac{v}{2L} $$

基本振動なので \( f_1 \) としています。

A式と見比べると、nに1を代入した式になっていますよね。

2倍振動

次は2倍振動です。これは図のように腹が2つできる振動のことです。

これも基本振動と同様に考えましょう。

図のように2倍振動は1波長そのままですよね。

つまり \( λ \) となります。 弦の長さは\( L \)なので、次の式が成り立ちます。

$$ λ = L $$

波の基本公式より

$$ v = fλ $$

\( λ=L \)を代入して

$$ v = f・L $$

振動数 \( f \) について求めると

$$ f_2 = \frac{v}{L} $$

2倍振動なので \( f_2 \) としています。

A式と見比べると、nに2を代入した式になっていますよね。

3倍振動

最後に3倍振動です。

これも同様に考えることができます。

次は2倍振動です。これは図のように腹が2つできる振動のことです。

これも基本振動と同様に考えましょう。

図のように3倍振動は1波長と2分の1波長ですよね。

つまり \( \frac{3}{2}λ \) となります。 弦の長さは\( L \)なので、次の式が成り立ちます。

$$ \frac{3}{2}λ = L $$

$$ λ = \frac{2}{3}L $$

波の基本公式より

$$ v = fλ $$

\( λ=\frac{2}{3}L \)を代入して

$$ v = f・\frac{2}{3}L $$

振動数 \( f \) について求めると

$$ f_3 = \frac{3v}{2L} $$

3倍振動なので \( f_3 \) としています。

A式と見比べると、nに3を代入した式になっていますね。

以上の流れで式を作ることができれば、A式を覚える必要はありません!

さらに応用を利かせることもできます。

最初は面倒に感じるかもしれませんが、慣れれば使い勝手がいいので頑張って慣れてください。

まとめ

今日は弦の振動について勉強しました。

まずは3つの用語を覚えましょう。

覚える!

固有振動→物体固有の振動のこと

固有振動数→物体固有の振動数のこと

共鳴→物体の固有振動に合った振動を加え、より大きく振動すること

弦の振動に関する公式が以下の公式です。

$$ f_n = \frac{v}{2L}×n(n=1,2,3・・・) $$

この公式は覚えるのではなく、自分で導出できるように練習しましょう!

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