はじめに
今回から電気の分野に入ります!
電気分野は難しい分野を1つですが、それはイメージのしにくさが原因です。
小学生の時にプラスチック製の下敷きをこすって、髪の毛を逆立てたことはありませんか?
「静電気だ!」「静電気だ!」
って私も遊びました(笑)
あと、冬場にドアノブに触れたときに
「バチッ!」
と鋭い痛みを感じることがありますよね。
あの現象を皆さん何と呼んでいますか?
「静電気だ!」
って言いますよね?
上記の2つの現象。
どちらも静電気で正しいのでしょうか?
今回はそういった勘違いも含めてお話ししていこうと思います。
静電気
まずは用語の確認からいきましょう。
先ほど下敷きの例を出しましたが、これは下敷きと髪の毛それぞれに「+電気」と「-電気」が偏って溜まっているために起こる現象です。
正(+)と負(-)が引きつけ合うことはご存じだと思います。
このように物体が電気を帯びることを帯電と言います。
帯電によってとどまったの動かない電気を静電気と言います。
そして、下敷きの例のように異種の電気同士が及ぼし合う力を静電気力(クーロン力)と言います。
そして、物体が持つ電気を今後は電荷と呼ぶことにします。
つまり、下敷きと髪の毛それぞれに異種の電気が帯電し、静電気力によって引き合うということです。
これは「静電気だ!」と言って差し支えない現象です。
もしくは「静電気力」笑
冬場にドアノブに触れたときに
「バチッ!」
と鋭い痛みを感じる現象、これは実は静電気ではないのです。
この話は後で触れます。
- 帯電→物体が電気を帯びること
- 静電気→物体にとどまったままの動かない電気
- 静電気力→異種の電気同士が及ぼし合う力
- 電荷→物体や原子、電子がもつ電気
原子
では、なぜ静電気が生じるのでしょうか?
物体は原子で出来ているということはご存じだと思います。
原子の中心には原子核があり、+の電荷をもつ陽子と電荷をもたない中性子によって構成されています。
そして原子核の周りには、-の電荷を持った電子が存在しています。
原子核と電子を含めて原子と呼んでいます。
基本的に原子は、陽子の数と中性子の数、電子の数は同じになっています。
基本的にというのが重要で、原子番号が大きくなってくると必ずしもそうではない原子もあります。
ここでは、基本的な原子について考えていきましょう。
「陽子の数と中性子の数、電子の数は同じ」
ということは、+とーに偏りは生じていません。
つまり、物体間で静電気力は生じないことになります。
しかし、現に下敷きと髪の毛は引きつけ合っています。
思い出してください。
髪の毛を逆立てる前に、皆さんは下敷きに擦るという工夫をしています。
この摩擦を加えるということが重要なのです。
物体を擦り合わせると、一方の物体の表面近くの電子が他方へ移動します。
これで+とーの偏りができました。
つまり、静電気は摩擦によって生じるのです。
擦り方もテキトーではあんまりよくないみたいですが、その話はまた今度。
今まで、動かない電気(静電気)についてお話をしてきました。
電流
次は動く電気についてです。
電気が動くとどうなるのか、、、
そう、電流ですよね!
電流の定義を確認しておきましょう。
電流:電子の流れ
シンプルですが重要なことです。
電子が流れるとそれは電流として働くのです。
電流の大きさは次の式で表されます。
$$ I = \frac{q}{t} $$
\( q \) は電気量を表し、\( t \) は時間を表しています。
電気量という言葉は初めて出てきましたが、電荷の量のことです。
電流の大きさは、ある断面を単位時間あたりに流れる電気量で定義されています。
簡単に言うと、短時間で多くの電子が動けば大きな電流になるということです。
この電流ですが、中学校理科では次のように習いませんでしたか?
「電流の向きは+から-。電子の向きは-から+」
ややこしいですよね。
ややこしいことはあまり好きではないので言い切ります。
電流=電子の流れ
つまり電流は本当は、-から+に流れているのです。
なぜこんなややこしいことになっているのか。
聞いたことあるかもしれませんが、歴史的な背景が原因です。
電流と電子の向き
昔の科学者は、電子を発見する前に電流という概念を科学に持ち込みました。
なぜなら、電子という概念がなくとも電流があることは明白だったためです。
そこで、とりあえず「+からーに流れることにしよう!」
と定義したのです。
そこから電子が発見されるまでの約100年間
「電流の向きは+から-」と教えられました。
約100年に渡って教えられた認識を今更覆すのは難しいと当時の人々は考えたのでしょう。
なので、「電流の向きは+から-。電子の向きは-から+」なんていうややこしいことになっています。
けれど、そういうことって科学の歴史上はよくある話はんですね。
歴史などの科目でもそうですが、研究が進んで今までの定説が覆されることはよくあります。
電流だって、100年間違っていたのかもしれませんが直せばよくないですか?
私自身は次の理由から訂正しなかったのでは?と勝手に考えています。
物理基礎ではあまり効果を発揮しませんが、電気分野では力学と同じように話を進めていきます。
物理の電気分野では電気的な位置エネルギーとして電位というものを扱います。
これは力学における重力による位置エネルギーと同じ考え方です。
このようにイメージが難しい電気分野をイメージがしやすい力学分野と同様に考えることで、理解していったのです。
物理学者の中には
「力学を学べば電気分野なんか学ばなくても理解できる」
なんていう暴論を言う人までいます(笑)
これはさすがに言い過ぎですが、それくらい関連が深いということです。
電気が苦手な人は是非、力学と同様に考えてみてください。
話が逸れましたが、電流を+から-に流れると考えた場合に、力学と電気を繋げやすいのだと思います。
なので、未だに
「電流の向きは+から-。電子の向きは-から+」
なんていうややこしいことになっているのだと思います。
放電
かなり話が脱線してしまいましたが、電流が流れやすい物質とそうでない物質について考えましょう。
物体は電流の流れやすさによって以下の3つに分類されます。
- 導体→抵抗率が小さく電流を流しやすい(金属)
- 不導体(絶縁体)→抵抗率が大きく電流を流しにくい(ゴムなど)
- 半導体→導体と不導体の中間の抵抗率を示す(シリコンなど)
この話は次回もう少し詳しく行います。
不導体の部分で「電流を流しにくい」という表現をしました。
皆さんの中には、不導体には電流が流れないと思っている人はいませんか?
小中学校ではそう習ったかもしれませんが、厳密には違います。
高電圧のもとでは、ゴムだろうがガラスだろうが電気は流れます。
空気も絶縁体ですが、高電圧であれば電気が流れます。
この現象に覚えはありませんか?
そうです。
皆さんが「静電気」と呼んでいるあれですね。
これは結局、雷と同じ現象なので「放電」というのが正しいと思います。
ただ、静電気が溜まっていないと発生しないので「静電気」でも正しいのかもしれませんが。
ちなみに、静電気は「バチッ!」と少し痛みを感じる程度ですが、発生している電圧は2000~3000(V)になります。
流れる電流は0.1(mA)程度なので人体に被害はありません。
人が感電死るときは、身体に大きな電流が流れている場合が多いです。
1(A)なんて流れてしまったら低電圧でも大変です。
家庭の42(V)という低い電圧であっても、感電死する恐れがあることから
「死に(42)ボルト」
なんて言われることもあります。
落雷は数億(V)になることもあるので当たってしまうとひとたまりもありません。
落雷も雲に-の電荷が溜まり、地上に+の電荷が溜まることで発生する放電現象です。
空気中を電気が流れるためには高電圧である必要があるという話をしましたが、電圧によってある程度の距離が決まっています。
距離1mにつき50万ボルト必要です。
ポケモンに出てくるピカチュウはサトシに
「ピカチュウ!10万ボルトだ!」
と言ってよくロケット団を攻撃していますが、10万ではあんなに遠くまでいきません。
20mくらいは離れているので、単純計算で1000万ボルトは欲しいですね(笑)
まとめ
関係ない話もたくさんしてしまいましたが、今回のまとめです。
- 帯電→物体が電気を帯びること
- 静電気→物体にとどまったままの動かない電気
- 静電気力→異種の電気同士が及ぼし合う力
- 電荷→物体や原子、電子がもつ電気
$$ I = \frac{q}{t} $$
- 導体→抵抗率が小さく電流を流しやすい(金属)
- 不導体(絶縁体)→抵抗率が大きく電流を流しにくい(ゴムなど)
- 半導体→導体と不導体の中間の抵抗率を示す(シリコンなど)
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導体や不導体については次回もう少し詳しくやります。
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