はじめに
今回は運動の3法則についてです。
コレ、力学分野の中でめちゃくちゃ大切です。
私は力学分野で何が一番大切かを問われれば「運動の3法則」と答えます。
しかし、入試等でよく問われるのはこの後に勉強する「力学的エネルギー」のところです。
まぁ、エネルギーも大切なのですが、力学の根幹を支えているのは?ということを考えると「運動の3法則」かな?と思いますね。
脱線しましたが、そのくらい大切なところです。
気合いを入れていきましょう!
はじめに
運動の3法則というくらいなので、当然3つの法則があります。
- 慣性の法則
- 運動方程式
- 作用・反作用の法則
上記3つです。
慣性の法則と作用・反作用の法則の法則は中学校理科で学習済みですね。
しかし大切なところなので、詳しく解説していきます。
慣性の法則
初めに慣性の法則の定義を示します。
物体に力がはたらいていないもしくははたらく力がつり合っている時、物体は静止または等速直線運動を行う。
定義だけ読むと眠くなってきますね。
最終的にはコレをすべて覚えてほしいのですが、文字だけ暗記しても意味がありません。
ちゃんとイメージで理解できれば自分で文章を書くことができるはずです。
まず前半の文章ですが「物体に力がはたらいていないもしくははたらく力がつり合っている」とありますね。
これはどうでしょうか?
「物体に力がはたらいていない」→これはそのままの意味です。
「はたらく力がつり合っている」→これは腕相撲なんかを想像してください。
腕相撲で同じくらいの腕力の人が対決すると力が拮抗して動かない状態が出来上がります。
しかし、力が全く加わっていないわけではありませんよね?これがつり合いの状態です。
前半部分の意味は理解できましたか?
次は後半の文章です。
前半部分の時「物体は静止または等速直線運動を行う」とあります。
力がはたらかない、はたらく力がつり合う場合に物体が静止することは大丈夫だと思います。
問題は、同様の場合は等速直線運動を行うこともあり得るということです。
みなさんのイメージは「力が加わっているから動く」だと思います。
しかし中学校で習った慣性の法則の簡単なイメージを思い出してください。
「物体は急には動けない。動いている物体は急には止まれない」→こんなイメージではありませんでしたか?
そうです。
動いている物体は基本的に力が加わっていなければそのまま動き続けるのです。
力が加わると速度が変化するのです(加速される)。
よろしいでしょうか?等加速度直線運動は力が加わっているので間違えないようにしてください。
ここまで分かれば、慣性の法則の定義は理解できるのではないでしょうか?
あやふやな人はもう一度戻って読んでみてください。
「動いている物体には、進む向きに力がはたらいている」この考え方は、理系の大学生でも何割かは勘違いしている考え方です。
そういった意味では慣性の法則をちゃんと理解できている人は多くないのかもしれませんね。
運動方程式
運動方程式は、あの有名なニュートンによって生み出された方程式です。
力\( F \) 質量\( m \) 加速度\( a \) とすると。
$$ ma = F $$
これが運動方程式です。
覚えやすそうな式ですね。
公式の意味としては、ある物体を動かそうと力を加えた際に、重い物体ほど動きにくく止まりにくい、また軽い物体ほど動かしやすく止まりやすいとなります。
実はこの式、みなさんが思っている以上に大切な式です。
このニュートンの運動方程式から力学における様々な公式を導くことができます。
言わば、力学の原点とも言うべき公式です。
ここでみなさんの疑問は「じゃあ、ニュートンの運動方程式はどうやって導くのだろうか」であると想像します。
私はこの話を聞いたときに同じような疑問が浮かびました。
結論から言うと、ニュートンの運動方程式は導くことはできません。これはどういうことかというと
$$ ma = F $$
という式はニュートンが自分自身の経験を式としてまとめた経験則であるためである。
つまり「こんな式になるんじゃないかな?」というような感じで導いた式なのです。
この式が本当に合っているのかどうかは私には分かりません。
しかし、合っていると仮定して導いた様々な力学公式は今現在まで間違った結論を出したことはありません。
物理という学問では理論の正しさは実験結果が理論値と一致するかどうかで決まります。
今までの実験で間違った結論が出ていないので、ニュートンの運動方程式は正しいであろうということになっています(現段階ではの話です)。
運動方程式(補足)
教科書によっては
$$ F = ma $$
という表記がされている場合があります。
別にどっちだっていいのですが、この違いについて私の考えをお話しします。
そもそも物理は現象の因果関係の観察から始まります。
現象を数式として表し、それに具体的な数値を当てはめて解を導き出します。
物理の公式は基本的に「結果 = 原因」という風に作られています。
そのため、左辺に何を書くのか、右辺に何を書くのかはとても重要になります。
ニュートンの運動方程式は、物体に力が働いた結果として加速度が生じるという意味ですので、
$$ F = ma $$
という式は厳密に言うと正しいのかな?って思います。
「物体に加速が生じた結果、物体に力が働く。つまり加速が力を生む」というのは直感的に考えてもおかしいですよね。
もしかしたら教科書会社によっては、式の見やすさを重視してF = maという書き方をしているのかもしれませんね。
なんでこんなことを考えたのかというと。
一昔前にニュースで \( 2×3 = 6 \) と \( 3×2 = 6\) についての報道がありました。
つまり、普通のかけ算では両方問題はないのですが、文章題になった際にはかける方とかけられる方とでは意味が異なるため、立式が題意に沿っていなければバツになるそうです。
この報道を観たときは「そんな順番が違うくらいでバツになるなんて小学生も大変だな」と厳密には違うかもしれないけれどマルにしてもいいのではないかと思っていました。
しかし、この記事を書いていて、やっぱり式の意味は大切なので立式も厳密に行わなければならないなと思ったのでした。
すみません。補足が長くなりました。
作用・反作用の法則
作用・反作用の法則の定義は以下の通りです。
2つの物体が互いに及ぼし合う作用と反作用は、同一作用線上にあり、大きさは等しく互いに逆向きである。
これはイメージすると「壁を殴れば殴る強さに応じて拳も痛くなるよ」ということです。
イメージしにくいかもしれませんが、サッカー選手がサッカーボールを蹴ったとします。
サッカーボールは当然、足から力を受けて飛んでいきます。
しかし、足も同様の力をサッカーボールから受けているのです。
サッカーボールの堅さや重さが大したことがないために、足へのダメージはそれほどでもありません。
また、片方の足が地面に付いているために摩擦もはたらきます。
プラス、人の方が重いため人がサッカーボールと反対方向に飛んでいくことはまずないでしょう。
しかし、宇宙空間のような場所でサッカーボールを蹴ることを考えます。
宇宙空間では、地上ではたらくような摩擦ははたらきません。
つまり、サッカー選手がサッカーボールを思い切り蹴ると、サッカーボールと同じ早さでサッカー選手は逆向きに飛んでいくことになるのです。
よく勘違いされる例をもう一つ挙げます。
机の上にリンゴが置いてあるのを想像してください。
リンゴには当然、重力と垂直抗力がはたらいていて、つり合っています。
リンゴにはたらく重力の反作用はどのような力でしょうか?
「垂直抗力!」←ハズレです!
垂直抗力と答える人が多いです。
初めのうちは仕方が無いのです。
リンゴにはたらく重力の反作用は、リンゴが地球を引く力です。
万有引力の法則を勉強していなければ難しいかもしれませんが、物体というのは質量があれば、引力を発生させるのです。
ただ、引力の強さは物体の質量に大きく依存するので、地球がリンゴを引っ張るのは分かりやすいですが、リンゴが地球を引っ張るというのは強さが弱いために分かりにくいんですよね。
引力が弱くてイメージしにくいかもしれませんが、力ははたらいているので、これは立派な反作用になります。
まとめ
今回は運動の3法則について勉強しました。
- 慣性の法則
- 運動方程式
- 作用・反作用の法則
この3つですね。ココは問題演習をしないと理解できているかどうか怪しいので、必ず問題演習をするようにしてくださいね。
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